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はじめに
アルツハイマー病(Alzheimer's disease : AD)は本邦の痴呆の約半分を占め,人口の高齢化とともにその数は増加し続けている。ADの治療薬として本邦でもドネペジルが登場し,早期投与でより高い効果が得られるためADの早期診断の必要性は高まっている。また,mild cognitive impairment(MCI)と呼ばれる正常と痴呆の境界領域の患者が存在し61),高頻度でADに移行することから,これらの患者が将来ADを発症するかどうかの予測が重要になってきている。AD脳の病理学的特徴はamyloid β protein(Aβ)からなるAβアミロイドとリン酸化tauからなる神経原線維変化である。ここ数年間のADの診断検査法研究の進歩は,脳脊髄液(CSF)Aβ42,Aβ40および tauの測定がADの強力なbiomarkerであることの臨床的evidenceを確立し,さらにCSFリン酸化tau(p-tau)がより特異的なbiomarkerであることも示してきた。これらCSFマーカーが軽症例ADの診断や,MCIからADへの進行例の予測に有用であることが確立された。さらに,血漿AβがADの危険因子のbiomarkerとして有望であることも示されつつある。CSFマーカーでは多施設大規模研究でAD診断の感度(sensitivity)と特異性(specificity)の改善が図られてきたが,最近では大規模な前向き研究や剖検との対応など,臨床的evidenceをさらに確認する研究方法による報告が相次いでいる。画像診断では3D-SSP,e-ZISなど(後出)の,より客観的な統計処理画像も一般病院で可能となった。動物実験レベルでは脳amyloidを直接画像化しようという試みもされつつあり,実際にAD患者への臨床応用の段階に入っている。本稿では最新のbiomarker研究の到達点とその臨床的evidenceについて報告をまとめ,画像診断,特に発展しつつある脳アミロイドの画像化に関する研究の動向について述べる。
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