Japanese
English
特集 Alzheimer病の最前線
1.アミロイドと原因解明
What Causes Aβ Amyloidosis in the Brain?
松原 悦朗
1
,
柳澤 勝彦
1
Etsuro Matsubara
1
,
Katsuhiko Yanagisawa
1
1国立長寿医療センター研究所アルツハイマー病研究部
1Department of Alzheimer's Disease Research, National Institute for Longevity Sciences, NCGG
キーワード:
Alzheimer's disease
,
Aβ
,
Aβ oligomer
Keyword:
Alzheimer's disease
,
Aβ
,
Aβ oligomer
pp.829-838
発行日 2005年10月1日
Published Date 2005/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406100082
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
はじめに
先進各国では社会の高齢化とともに認知症患者が増加しており,初老期発症のアルツハイマー病がこの多くを占めている。日本は世界一の長寿を手にしたが,その引き替えに,この認知症の問題を抱える羽目になったのは周知の事実であり,その病因解明と治療法開発はわれわれ研究者に課された最も重要な使命である。このアルツハイマー病の病理過程でみられる最初期変化は,大脳皮質neuropilに出現する斑状の嗜銀性構造物(老人斑)として知られ,きわめて疾患特異性が高い病理所見である。βアミロイド(Aβ)はこうした老人斑の主要構成成分として同定されたが,脳実質中ではその可溶型も存在している。アルツハイマー病患者脳では何らかの原因でこの可溶型Aβの産生・分解・除去の代謝機構が破綻し,不溶性の高まったAβが脳実質に沈着し,これに腫大変性神経突起や反応性グリア細胞が加わって,老人斑としての脳アミロイド沈着を形成すると考えられている。こうしたAβ蓄積,特に老人斑アミロイドとして蓄積に至る経路の解明が多くの研究者の対象とされてきたが,最近はアミロイド線維を形成して沈着・蓄積する前の中間分子が病態惹起性神経毒性分子として注目されてきている。本稿ではこれまで得られている最新の知見につき概説する。
Copyright © 2005, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.