Japanese
English
総説
運動ニューロン疾患Up-to-date
Motor Neuron Disease Up-To-Date
山本 正彦
1
,
石垣 診祐
1
,
勝野 雅央
1
,
祖父江 元
1
Masahiko Yamamoto
1
,
Shinsuke Ishigaki
1
,
Masahisa Katsuno
1
,
Gen Sobue
1
1名古屋大学大学院医学系研究科神経内科
1Department of Neurology, Nagoya University Graduate School of Medicine
キーワード:
amyotrophic lateral sclerosis(ALS)
,
motor neurons
,
microarray
,
dorfin
,
spinal and bulbar muscular atrophy(SBMA)
Keyword:
amyotrophic lateral sclerosis(ALS)
,
motor neurons
,
microarray
,
dorfin
,
spinal and bulbar muscular atrophy(SBMA)
pp.273-283
発行日 2005年4月1日
Published Date 2005/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406100032
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はじめに
運動ニューロン疾患は運動ニューロンが選択的に変性,脱落するために筋力が低下していく疾患の総称であり,代表的な疾患として筋萎縮性側索硬化症(ALS)があげられる1)。ALSは脊髄,脳幹,大脳の運動ニューロンが変性する成人発症の疾患である。ALSでは運動ニューロンの脱落により進行性の脱力,筋萎縮を呈し,平均3~5年以内に呼吸筋麻痺のために死亡する。全世界での発症率は10万分の0.5~3,有病率が10万分の4~6で人種との明らかな関連はない。ALSのほとんどが孤発性(SALS)であるが,約10%が家族性(FALS)である2)。ALS以外の運動ニューロン疾患には,遺伝性疾患である球脊髄性筋萎縮症(SBMA),脊髄性筋萎縮症(SMA)などがある。本稿では,運動ニューロン疾患の大部分を占める孤発性ALS(SALS)病態の最新の知見を中心に概説する。また,FALSの約20%はSOD1変異によるが,われわれは変異SOD1に特異的に結合するユビキチンリガーゼE3であるDorfinを報告し,現在FALSの病態との関連を検討中である。さらに,SBMAについては,アンドロゲン分泌を抑制するLHRHアナログを用いたSBMAモデル動物への改善効果に基づき,現在SBMAに対する臨床治験が進行中であり,LHRHアナログが有効である感触を得つつある。DorfinおよびSBMAの詳細については他に譲る。
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