Japanese
English
総説
PTSDの神経画像
Neuroimaging in Posttraumatic Stress Disorder
笠井 清登
1
,
山末 英典
1
Kiyoto Kasai
1
,
Hidenori Yamasue
1
1東京大学大学院医学系研究科・精神医学
1Department of Neuropsychiatry, Graduate School of Medicine, University of Tokyo
キーワード:
posttraumatic stress disorder(PTSD)
,
magnetic resonance imaging(MRI)
,
medial prefrontal cortex
,
limbic system
Keyword:
posttraumatic stress disorder(PTSD)
,
magnetic resonance imaging(MRI)
,
medial prefrontal cortex
,
limbic system
pp.285-290
発行日 2005年4月1日
Published Date 2005/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406100033
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はじめに
外傷後ストレス障害(posttraumatic stress disorder:PTSD)は,死の恐怖に直面するような強い心的外傷体験ののちに,再体験・回避/麻痺・覚醒亢進が1カ月以上持続する症候群である1)。外傷体験にはさまざまなものがあり,戦争,テロリズム,大災害などの大事件の場合もあれば,交通事故,性的・身体的な暴力・虐待などのように個人的・身近な出来事の場合もある。PTSDは,心理的な要因をきっかけに起こる精神障害であることから,心因性精神障害に分類されてきた。しかし,近年の神経画像技術の発達により,PTSD患者に脳機能・構造の異常が存在すること,また,それらの少なくとも一部は,発症前から存在するPTSDに至る脆弱性を反映していることが明らかとなってきた。われわれは,マルチモダリティ・非侵襲的脳計測である,3次元MRI(magnetic resonance imaging),事象関連電位(event-related potential:ERP),多チャンネル近赤外線スペクトロスコピー(near-infrared spectroscopy:NIRS),ファンクショナルMRI(functional MRI:fMRI)を複合的に用いてPTSDの脳機能・構造異常を解明する試みを行っている。本稿では,1)マルチモダリティ・非侵襲的脳計測を用いたPTSDの脳病態の解明,2)PTSD双生児を対象とした3次元MRI研究や非侵襲脳計測(3次元MRI,NIRS)と人格特性の関連研究を通じた,ストレス脆弱性と脳機能・構造の関連の解明,についての知見を紹介する(紹介記事9))。
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