Japanese
English
展望
高齢社会における精神医療と精神科医の役割
The Role of Psychiatrists in Aging Societies
柄澤 昭秀
1,2
Akihide KARASAWA
1,2
1聖徳大学人文学部
2聖徳大学保健センター
1Faculty of Humanities, Seitoku University
2Health Care Center, Seitoku University
キーワード:
Aging societies
,
Psychiatric practices
,
Mental health
Keyword:
Aging societies
,
Psychiatric practices
,
Mental health
pp.1144-1154
発行日 1999年11月15日
Published Date 1999/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405904868
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はじめに
近年わが国の人口の高齢化が急スピードで進み,現在なお進行中であることは,今や周知のことである。わが国の65歳以上人口(高齢人口)が500万人を超えたのは今から約40年前であるが,それから20年後の1980年には,1,000万人を超え,現在はすでに2,100万人を超えている。将来推計によれば高齢人口のピークは今から約40年後で,その数は3,300万人に達するものと予測されている。わが国を含め高齢先進国における高齢人口の増加は主として住民の健康度の向上によってもたらされたものであり,その意味では喜ばしい現象といえるのであるが,反面,このような高齢者の増加はそれをもたらした医療や社会に対して様々な問題を提起することになった。高齢社会にかかわる問題は多々あるが,ここではわが国の実情を踏まえて,精神医療や精神保健に求められる新たな課題や精神科医の役割について考えてみたい。なお,わが国の人口の高齢化は少子化,若年人口の減少によって著しく加速されている。また近年,家族構成や家族機能の変化,高学歴化が目立ち,個人の意識や価値観にも変化が生じている。この際これらのことが高齢社会に及ぼす直接,間接の影響についても考慮されなければならない。
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