Japanese
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展望
セロトニン・ドーパミン・アンタゴニスト抗精神病薬の臨床的課題
Clinical Issues of Serotonin-Dopamine Antagonist Antipsychotics
黒木 俊秀
1
,
田代 信維
1
Toshihide KUROKI
1
,
Nobutada TASHIRO
1
1九州大学医学部精神科
1Department of Neuropsychiatry, Faculty of Medicine, Kyushu University
キーワード:
Serotonin-dopamine antagonist
,
Atypical antipsychotics
,
Schizophrenia
,
Clinical advantage
,
Side effect
Keyword:
Serotonin-dopamine antagonist
,
Atypical antipsychotics
,
Schizophrenia
,
Clinical advantage
,
Side effect
pp.692-702
発行日 1998年7月15日
Published Date 1998/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405904574
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■はじめに
1950年代初頭のクロルプロマジンの精神科治療への導入に始まり,1970年代半ばよりはドーパミン仮説を有力な根拠に展開されてきた抗精神病薬研究の歴史において,1990年代におけるセロトニン・ドーパミン・アンタゴニスト(serotonin-dopamine antagonist;SDA)抗精神病薬の登場は新たなターニング・ポイントとなりつつある。その発端となったのは,1988年,米国のKaneら32)が報告したハロペリドール抵抗性の精神分裂病に対するクロザピン(clozapine)の有効性の検証であった。極めて精密にデザインされたハロペリドール抵抗性分裂病(対象患者=267名)に対する二重盲検試験の結果,クロルプロマジンは4%の患者にしか有効でなかったが,クロザピンは実に30%の患者に有効であったことが報告された。続く1989年,Meltzerら45)はクロザピンをはじめとする錐体外路系副作用(extrapyramidal symptoms;EPS)の頻度が少ないいわゆる非定型抗精神病薬の薬理学的プロフィールには,ハロペリドールなどの定型抗精神病薬と比較して,in vitroにおけるセロトニン(5-HT)2A受容体遮断作用がドーパミン-D2受容体遮断作用よりも相対的に高い特徴があることを報告した。したがって,抗5-HT2A力価:抗D2力価比の高い抗精神病薬は,古典的な定型抗精神病薬に比較して,EPS発現の頻度が少なく,かつ優れた抗精神病作用を有することが期待された。
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