特集 伝達物質と受容体
3.アミン
アドレナリン・ノルアドレナリン
側坐核のドーパミン放出とGABAA受容体アゴニスト,アンタゴニスト
三枝 禎
1
,
青野 悠里
1
,
越川 憲明
1
Tadashi Saigusa
1
,
Yuri Aono
1
,
Noriaki Koshikawa
1
1日本大学歯学部薬理学教室
pp.420-421
発行日 2009年10月15日
Published Date 2009/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425100899
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[用いられた物質/研究対象となった受容体]
ムシモール,ビククリン/GABAA受容体
側坐核は中脳腹側被蓋野を起始核とする中脳-辺縁系ドーパミン(DA)神経の投射領域の一つで,GABAA受容体が分布している。側坐核のGABAA受容体は同部位のDA神経活動を抑制的に制御することが行動学的研究から示唆されてきたが,このことはin vivo脳微小透析法によって神経化学的に裏付けられている。本法は自由運動下の動物の脳内から半透膜を介して持続的に研究対象部位の細胞外液を採取できる上,灌流液に溶解した薬物の逆透析による脳内局所投与も可能である。われわれが行っているin vivo脳微小透析法の実験条件下では,側坐核から回収した細胞外液中のDAの80%以上が電位依存性Na+チャネル阻害薬のTTXの灌流投与により消失する1,2)。すなわち,この側坐核から回収したDAの大部分は神経活動依存性に細胞外へ遊離したものと考えられるので,われわれはこのDA量を指標とした側坐核のDA放出の制御機構に関する研究を推し進めている。
本稿では,側坐核の基礎的なDA放出の制御,およびμ受容体刺激で誘発されるDA放出亢進に関与するこの領域のGABAA受容体の役割について,GABAA受容体系薬物を用いたin vivo脳微小透析法による研究で得られた知見を中心に紹介する。
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