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特集 精神科領域におけるレセプター機能の研究の進歩
定型および非定型抗精神病薬の抗ドーパミンD1,D2,抗セロトニン5-HT2作用
Antidopamine D-1, D-2 and Serotonin 2 Effect of Typical and Atypical Antipsychotic Drugs
松原 繁広
1
,
松原 良次
1
,
小山 司
1
,
山下 格
1
,
H. Y. Meltzer
2
Shigehiro Matsubara
1
,
Ryoji Matsubara
1
,
Tsukasa Koyama
1
,
Itaru Yamashita
1
,
H. Y. Meltzer
2
1北海道大学医学部精神医学教室
2Department of Psychiatry, Case Western Reserve University
1Department of Psychiatry and Neurology, Hokkaido University School of Medicine
2Department of Psychiatry, Case Western Reserve University
pp.117-123
発行日 1991年2月15日
Published Date 1991/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405902992
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■はじめに
chlorpromazineの登場により精神分裂病の薬物療法が可能になって半世紀近くになろうとしている。その後butyrophenone系の薬物など,多数の抗精神病薬が使用可能になりその有用性も証明されている。作用機序についてはなお明らかでないが,一般に受け入れられているのは“ドーパミン仮説”であろう。1970年代半ばになって,Seemanら29),Creeseら10)が抗精神病薬の臨床用量とそのドーパミンD2受容体阻害能とのあいだに高い相関があることを証明し,“ドーパミン仮説”はますます確からしいものとなった。
したがって,抗精神病薬による治療には多かれ少なかれ錐体外路系の症状(以下,EPS)がつきまとうことになるが,1960年代末に現れたdibenzodiazepine系薬物であるclozapineは,明らかに抗精神病効果を示すにもかかわらずEPSを欠く31)ことから,古典的抗精神病薬(定型的な抗精神病薬,typical antipsychotic drug,以下typical APD)に対比され,非定型抗精神病薬(atypicalAPD)として,以来数多くの研究の対象となってきた。
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