Japanese
English
研究と報告
多重人格症状を呈したbulimia nervosaの1例
A Case of Bulimia Nervosa with Multiple Personality
花澤 寿
1
Hisashi HANAZAWA
1
1帝京大学医学部付属市原病院精神科
1Department of Psychiatry, Ichihara Hospital, Teikyo University School of Medicine
キーワード:
Bulimia nervosa
,
Multiple personality
,
Dissociative identity disorder
,
Dissociation
Keyword:
Bulimia nervosa
,
Multiple personality
,
Dissociative identity disorder
,
Dissociation
pp.703-710
発行日 1998年7月15日
Published Date 1998/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405904575
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【抄録】23歳でbulimia nervosaを発症し,その約1年半後に多重人格症状を合併した症例を報告した。典型的な過食症状とともに,多重人格症状としては,幻声と記憶の欠落およびその間の患者の意に反した行動が特徴的であった。過食する主体は主人格であり,従来報告されている独立した「過食人格」は認めなかった。過食症状と多重人格症状の統一的な理解のためには,解離概念が有用と考えられ,過食症患者の少なくとも一部では,その精神病理に解離が関与している可能性を支持する症例と考えられた。発症に影響を与えた思春期の心的外傷体験としてひき逃げ体験があり,発症の直接的背景としては職業上の挫折から生じた同一性の危機状況が考えられた。
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