Japanese
English
研究と報告
万能的な核を持つ境界例患者の精神病理—社会的枠組との関連から
The Borderline Patients with a Omnipotent Core: their psychopathology in relation to social framework
津田 均
1
Hitoshi TSUDA
1
1東京大学医学部附属病院分院神経科
1Department of Psychiatry, Tokyo University Branch Hospital
キーワード:
Borderline patients
,
Social framework
,
Omnipotence
,
Rivalry
Keyword:
Borderline patients
,
Social framework
,
Omnipotence
,
Rivalry
pp.513-520
発行日 1997年5月15日
Published Date 1997/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405904329
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【抄録】万能的,自己愛的な核を持つ境界例4例を取り上げ,その核の位置づけを,患者と社会的枠組との関係から論じた。患者には,枠や制限の設定を伴う役割構造が受け入れられていないことを示し,それと,ライバル関係の止揚がなされないことが関係していることを論じた。患者の万能的な核は,役割構造の制限を受けない親切心,ライバル関係を完全に超えて他人に認められるような能力,美質の主張であると考えられた。さらに一見役割構造の介在が存在しないように見える,愛,友情をめぐる二者関係においても,患者は,自分と他者を出口のない関係へと導き,安定した関係を築くことが困難なことを論じた。考察と関係する治療の留意点についても付言した。
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