Japanese
English
研究と報告
クロナゼパム投与時に遷延性うつ病相からの躁転がみられた双極感情障害の1例
A Manic Episode Switched from a Prolonged Depressive Phase during Clonazepam Therapy in a Patient with Bipolar Affective Disorder
稲月 原
1
,
鈴木 邦人
1
,
茂野 良一
1
,
稲月 まどか
1
,
伊藤 陽
1
Gen INAZUKI
1
,
Kunito SUZUKI
1
,
Ryoichi SHIGENO
1
,
Madoka INAZUKI
1
,
Noboru ITOH
1
1新潟大学医学部精神医学教室
1Department of Psychiatry, Niigata University School of Medicine
キーワード:
Bipolar affective disorder
,
Clonazepam
,
Drug-induced
,
Manic episode
,
Prolonged depression
Keyword:
Bipolar affective disorder
,
Clonazepam
,
Drug-induced
,
Manic episode
,
Prolonged depression
pp.957-961
発行日 1996年9月15日
Published Date 1996/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405904171
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【抄録】今回我々は,クロナゼパムによって遷延していたうつ病相から躁転したと考えられる双極感情障害の1例を経験した。この40歳の女性例は,種々の抗うつ薬を十分量,投与したにもかかわらず,うつ病相が2年以上遷延し,強い不安・焦燥感,背中のザワザワ感,restless legs syndrome様の症状を訴えていた。これに対しクロナゼパム5mg/日を投与したところ,速やかにうつ状態が改善し,さらにその2か月後に躁転した。クロナゼパムを4mg/日に減量し,炭酸リチウムを投与することで躁状態は軽快した。クロナゼパムの抗うつ効果に関する研究報告はこれまで数編あるが,このような躁転例についての報告はない。クロナゼパムは抗うつ薬抵抗性うつ病に対して試みる価値のある薬剤であるが,その際には躁転の可能性も考慮すべきことが本例によって示された。
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