Japanese
English
研究と報告
純粋健忘症状群の1症例における逆向健忘の検討
Retrograde Amnesia in a Case of Pure Amnesic Syndrome
平林 一
1
,
稲木 康一郎
1
,
平林 順子
2
,
市川 英彦
3
Hajime HIRABAYASHI
1
,
Koichiro INAKI
1
,
Junko HIRABAYASHI
2
,
Hidehiko ICHIKAWA
3
1リハビリテーションセンター鹿教湯病院臨床心理科
2リハビリテーションセンター鹿教湯病院言語療法科
3リハビリテーションセンター鹿教湯病院内科
1Department of Clinical Psychology, Kakeyu Hospital Rehabilitation Center
2Department of Speech Therapy, Kakeyu Hospital Rehabilitation Center
3Department of Internal Medicine, Kakeyu Hospital Rehabilitation Center
キーワード:
Retrograde amnesia
,
Pure amnesic syndrome
,
Semantic memory
,
Episodic memory
Keyword:
Retrograde amnesia
,
Pure amnesic syndrome
,
Semantic memory
,
Episodic memory
pp.949-956
発行日 1996年9月15日
Published Date 1996/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405904170
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【抄録】解離性椎骨動脈瘤破裂によるクモ膜下出血後に,純粋健忘症状群を呈した1例を報告した。本症例の逆向健忘を検討した結果,以下の点を確認した。すなわち,(1)追想障害に明瞭な時間的勾配が存在する。(2)逆向健忘期間については,その時間経過の感覚も失われる,(3)逆向健忘期間中,同時に獲得したと考えられる意味記憶とエピソード記憶の比較が可能で,後者で障害が著しい。本例の示した病像より,健忘症患者の少なくとも一部の例では,過去の同じ時点で獲得した意味記憶とエピソード記憶であっても,それが分離した形で障害される場合があることを指摘した。
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