遷延性うつ病として治療されていたCushing病の1例

A Case of Cushing Disease Which Had Been Treated as a Prolonged Depression

はじめに

　Cushing症候群(広義)は不安，焦燥，抑うつ，妄想，幻覚，昏迷，錯乱，興奮など，多彩な精神症状¹⁾が出現する。特に抑うつが顕著でうつ病との鑑別¹⁾が必要となる。Cushing症候群(広義)のうち，下垂体ACTH産生腫瘍はCushing病と呼ばれている^1,2)。今回，遷延性うつ病として治療されていたCushing病の1例を経験した。若干の考察を加えて報告する。匿名性保持のため論旨に影響のない程度で改変を施し症例呈示に際し本人より同意を得た。