巻頭言
医療雑観
武田 專
1
1武田病院
pp.4-5
発行日 1996年1月15日
Published Date 1996/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405904014
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Ⅰ.精神医療
私は1966年(昭和41年)の精神病理・精神療法学会のシンポジウムで,次のような提言をした。「従来,我が国における精神病院の精神医療の問題は,生活療法やリハビリテーションの形で,病院精神医学の分野で取り上げられてきた。一般の精神病院にあっては,少数の治療者と多数の患者たちとの間の治療関係を基本とする表層的な社会適応の回復などに重点が置かれ,ともすれば個々の患者の微妙な個性や精神力動の推移に注意の向かぬきらいがあった。
これに対して私たちの立場は,患者個々の精神内界の変化を重視する神経症の1対1の関係に注目する,閉鎖的な交渉様式を基本としている。したがって,病院全体を精神療法的に管理するには,治療者・患者関係の構造の修正と,それに伴う治療技法や理論の修正が必要となってくる。我が国の精神医療の健全な発展を考えるならば,私たちは日本的な現実に,より積極的に適応すべきであるが,一般精神病院においてもさらに積極的に,個人精神療法の知識と経験を集団的な取扱いや病院治療に導入することが望ましい」と。
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