Japanese
English
特集 睡眠と精神医学:「睡眠精神医学」の推進
うつ病と睡眠障害
Depression and Sleep Disorders
清水 徹男
1
Tetsuo SHIMIZU
1
1秋田大学医学部神経運動器学講座精神科学分野
1Department of Neuropsychiatry, Section of Neuro and Locomotor Science, Akita University School of Medicine, Akita, Japan
キーワード:
Depression
,
Suicide
,
Insomnia
,
Sleep deprivation
,
HPA axis
Keyword:
Depression
,
Suicide
,
Insomnia
,
Sleep deprivation
,
HPA axis
pp.471-477
発行日 2007年5月15日
Published Date 2007/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405100990
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はじめに
24時間社会,グローバル・スタンダードの時代を迎え,競争の激化とともに過重労働の問題が大きく取り上げられる現代社会である。また,過労死という言葉も新聞紙上をにぎわすようになった。過労死の背景にも過重労働があり,うつ病やその結果と想定されている自殺との関連で注目されている。
過重労働は就労者が休養に当てるべき時間を奪い,睡眠不足をもたらす。そればかりではなく,過重労働は心身のストレスを高める結果,不眠を誘発する。疲労して寝床に入っても,頭の中をさまざまな思案や不安が駆けめぐり,入眠が妨げられるのである。加えて,眠れないことそのものが不安を高め,さらに不眠を助長するという「不眠の悪循環」が形成されてしまう。このような不眠がうつ病発症の危険因子となることが実証されるようになったのは比較的に最近のことである。
不眠がうつ病の重要な症状であることは精神科医にとっての常識であるが,うつ病における不眠の機序や予後については十分な検討がなされていない。以上をふまえて,本稿ではうつ病の観点から睡眠障害,とりわけ不眠について展望するとともに,うつ病に対する断眠療法についても簡単に紹介する。
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