Japanese
English
特集 睡眠と精神医学:「睡眠精神医学」の推進
不眠症とその近接領域
Sleep-psychiatry Related to lnsomnia Research
内山 真
1
Makoto UCHIYAMA
1
1日本大学医学部精神医学系
1Department of Psychiatry, Nihon University School of Medicine, Tokyo, Japan
キーワード:
Insomnia
,
Epidemiology
,
Hypnotics
,
Antidepressant
,
Melatonin
Keyword:
Insomnia
,
Epidemiology
,
Hypnotics
,
Antidepressant
,
Melatonin
pp.487-498
発行日 2007年5月15日
Published Date 2007/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405100992
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はじめに
不眠は,一般人口において最も高頻度にみられる精神医学的問題であり,一般身体科患者においても3割以上と非常に頻度が高い。うつ病では9割以上が不眠の訴えを持つように,精神疾患における不眠の合併率の高さは,改めて言うまでもない。こうしたことから,不眠症の専門家へのニーズは高いが,実際に専門家はわずかしかいない。臨床においては,しばしば精神科医がその役割を期待される。しかし,精神科医は,不眠の訴えを持つ患者を最も多く扱っているものの,基本的にはそれぞれの精神疾患治療の一部としての知識や経験であり,睡眠学の最近の進歩に基づいて不眠症に包括的な診療を行えるとは必ずしもいえない。諸外国においても,精神科医が睡眠医学から遠ざかりつつあり,同様な問題を抱えている。
1980年代までの不眠症研究では,性格と睡眠特性関係が中心のテーマであったが,1990年代になり疫学的なエビデンスが徐々に蓄積し,1990年代後半からは終夜睡眠ポリグラフ検査を中心にした睡眠薬治験が行われるようになった。その後は,より臨床的な観点から不眠症についてアプローチする研究が増え,生物学的な成因についての研究や不眠が他の疾患の経過に与える影響などについての研究もなされるようになってきた。
これらの点をふまえ,本稿では,不眠の疫学に関して最近の報告をまとめ,不眠症の薬物療法の現状について展望し,新規開発中の睡眠薬について紹介する。
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