Japanese
English
特集 精神疾患の新しい診断分類
臨床診断基準に求められるもの—初期診断と疑診
On the Necessity of Each Criterion for Early Diagnosis and Probable Diagnosis in Psychiatric Practice
中安 信夫
1
Nobuo NAKAYASU
1
1東京大学医学部精神医学教室
1Department of Psychiatry, Faculty of Medicine, University of Tokyo
キーワード:
Diagnostic criteria
,
Early diagnosis
,
Probable diagnosis
Keyword:
Diagnostic criteria
,
Early diagnosis
,
Probable diagnosis
pp.479-486
発行日 1994年5月15日
Published Date 1994/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405903657
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■はじめに
アメリカ精神医学会は1993年,DSM-Ⅳ最終草案12)を提出した。本特集の目的は先年提出された国際疾病分類第10改訂版:ICD-10(1992)(その第Ⅴ章:精神および行動の障害)13)とともにこのDSM-Ⅳを紹介することにあるとのことであるが,編集委員会から筆者に与えられたテーマは「精神疾患の操作的診断に関するいくつかの疑問」というものであり,要は批判的立場で一言述べよという要請と思われた。これにはたぶん,筆者5〜7)がこれまで2度にわたってDSM-Ⅲ(-R),ことにその精神分裂病の診断基準を批判してきたことが与かっていようが,筆者としてはすでにこれまでの論稿にて批判を尽くしたつもりであり,改定されたDSM-Ⅳを見ても「いったいいつまでこの愚挙をなすつもりなのか」と,もはや怒りを通り越して嘆息するしかないというのが唯一の思いである。ただ,求められたことでもあり,今回はやや趣を変えて「臨床診断基準に求められるもの」という観点から一文を草したいと思う。ただし,その内容はこれまでの主張からそのエッセンスを抜き出して強調するだけのものとなることをあらかじめお断りしておきたい。
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