巻頭言
カルテはだれのもの?
原田 憲一
1
1神奈川県立精神医療センター
pp.568-569
発行日 1992年6月15日
Published Date 1992/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405903252
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カルテ(診療録,medical records)が患者のためのものであることは分かりきったことである。では,だれのものか?とあらためて問われると,一瞬答えに窮する。カルテと患者はどういう関係にあるのか? カルテを患者は自由に閲覧する権利を持つかどうか,といった問題が伏在しているからである。
神奈川県は1990(平成2)年3月,全国でも先進的な個人情報保護条例を施行した。個人の情報を保護するということは,表裏一体として「自己情報の開示」を必要とする。プライバシーを守るということをきちんと実行するためには,自分以外の人が自分に関してどんな情報を握っているかを,本人が知る権利を認めねばならない。県の機関が持っている個人情報の開示を,その個人本人が希望し,必要に応じて訂正を求める権利を条例で定めたのである。
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