Japanese
English
研究と報告
憑依症候群—非分裂病例からの検討
Possession Syndrome: interpretations on the basis of non-schizophrenic cases
木村 光男
1,2
,
森山 成彬
1
,
斉藤 雅
1
,
金 長寿
1
,
橋口 庸
3
Mitsuo Kimura
1,2
,
Nariakira Moriyama
1
,
Masashi Saito
1
,
Kim Jang Soo
1
,
You Hashiguchi
3
1八幡厚生病院
2現,福岡県立太宰府病院
3現,行橋厚生病院
1Yahata Kohsei Hospital
2Fukuoka Kenritsu Dazaifu Hospital
3Yukuhashi Kohsei Hospital
キーワード:
Possession syndrome
,
Invocation
,
Delusion of possession
Keyword:
Possession syndrome
,
Invocation
,
Delusion of possession
pp.131-138
発行日 1992年2月15日
Published Date 1992/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405903192
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【抄録】 最近5年間に経験した非分裂病性の憑依症候群8例について臨床的検討を加えた。年齢は初老期以降が多く,女性が多数を占めていた。生育地・居住地は共に都市とその近郊であった。低学歴の傾向はなく,知能も正常範囲であった。病前性格はいわゆる執着気質が多かった。全例が持続的葛藤下にあり,うち6例が急性ストレスを契機に発病していた。女性患者の場合,社会的に無力である夫に代わって,一家の大黒柱であることを余儀なくされていた。宗教的背景は必須ではなかった。症状は,不眠後に高揚感を呈するものが大部分で,患者を鼓舞する親和的な幻聴がみられた。憑依物は先祖の霊や神仏が多く,動物はなかった。発症後に家庭環境に改善の認められた例は転帰が良好であり再発も認めなかった。DSM-Ⅲ-RやICD-10による診断のみでは本症候群の持つ意味と特徴が浮き彫りにされず,愚依症候群の診断名は有用であった。本症候群は都市化の波にもかかわらず,今後も存続すると思われる。
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