Japanese
English
研究と報告
一卵性双生児(女性)の両極性うつ病の不完全一致例
Ein partiell konkordantes MZ Zwillingspaar mit bipolar manisch-depressiver Psychose
大橋 正和
1
,
坂井 昭夫
2
Masakazu Ohashi
1
,
Akio Sakai
2
1新潟大学医学部精神医学教室
2新津信愛病院
1Psychiatrische Klinik der Niigata Universitat
2Niitsu Shinai Krankenhaus
キーワード:
Bipolar and monopolar depression
,
Monozygotic twins
,
Partial concordance
,
Nosology of affective disorders
Keyword:
Bipolar and monopolar depression
,
Monozygotic twins
,
Partial concordance
,
Nosology of affective disorders
pp.373-380
発行日 1991年4月15日
Published Date 1991/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405903032
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
【抄録】 姉が両極性うつ病,妹が単極性うつ病を呈した一卵性双生児の1例を報告した。
疾病論的にみると,現象型としては両極性うつ病,単極性うつ病を呈しているが,両者ともに両極性うつ病の遺伝子型を共有し,単極性うつ病を両極性うつ病の不全型として把握するのが妥当と考えられ,先の大橋らの見解を支持する。両者の臨床像の違いは,本症例では発達史から生じた二人の性格構造の差異に由来する可能性が大きいと考えられた。
また本症例と大橋らの一卵性双生児の両極性うつ病の第1例目とを比較し,より生物学的に規定される所見と,より心理・社会学的に規定される所見が推定されうることをも述べた。このことは躁うつ病をbio-psycho-socialな疾患モデルとして包括的に捉える必要があることを示唆しており,この意味で本症例は躁うつ病の臨床遺伝学,疾病論および治療論に貢献すると考えられる。
Copyright © 1991, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.