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第35回日本てんかん学会は,2001年9月27日,28日の2日間,鈴木二郎会長(現国際医療福祉大学,前東邦大学教授)と大澤真木子副会長(東京女子医科大学教授)のもとに,東京新宿の京王プラザホテルで行われた。東京での開催は昨年の第34回(真柳佳昭会長)から2年連続となるが,昨年の赤坂・明治記念館の閑静な雰囲気とはまた趣が異なり,新宿副都心の巨大なビル群と賑わいの中での学会はそれにふさわしい活発な盛り上がりを見せた。
今回の学会のテーマは「てんかんにおける病因と発達—てんかんの克服に向けて」であり,鈴木会長が話しておられたように,「究極の目標としてのてんかんの治療,克服」を目指すためのプログラムが組まれたといえる。特に薬物療法やてんかんと妊娠・出産と児の発達に関するシンポジウムは,てんかん診療にあたるすべての医師が日常的に直面している問題を扱ったものとして非常に実践的で価値の高いものであった。これまで薬物療法に関するシンポジウムがほとんど行われていないことをお聴きしていささか驚いたが,新世代の抗てんかん薬導入が諸外国より遅れているわが国の現状で,いかにして既存の薬物で効果的かつ安全な治療ができるかを探るという意図が明確に感じられた。また「“てんかん”の影響一妊娠の成立から乳児期まで」と題されたシンポジウム2では,単に妊娠とてんかんという問題だけではなく,遺伝の問題から胎児期から出生後の児の発達やその後のQOLの問題に至るまで,てんかんを持つ親と子の問題がライフステージごとに取り上げられた。これまで,てんかんと妊娠という問題は奇形発生の有無などに焦点が絞られがちであったが,このシンポジウムは人を生涯にわたってケアするための具体的な問題の解決を模索した貴重なものといえる。ただしこれらのような臨床研究には,“evidence-based medicine”を前提とした疫学的手法が必須の時代的要求となっているが,わが国ではまだ大規模な臨床研究の実施に関するインフラストラクチャーが十分にできていない。今回の2つのシンポジウムを機に,日本人固有の問題も含めた臨床指針がさらに充実していくことが期待される。
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