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第33回日本てんかん学会は,1999年10月22,23日の2日間,東北大学大学院精神神経学分野の佐藤光源教授を会長に,仙台国際センターにおいて開催された。本学会が仙台市で開かれるのは初めてと聞くが,昔から大脳生理学や臨床脳波学の盛んな当地の歴史を考えると,多少の驚きをもって本学会を迎えた。プログラムは大会前夜の,恒例となっているプレコングレス・サテライト・シンポジウム「てんかん―最新の検査法と治療への応用」(司会:音成神経内科クリニック・音成龍司,国立精神・神経センター・大槻泰介両氏)により,実質的な幕を開けた。
本学会のメイン・テーマは,「難治性てんかんとその治療」であり,大会初日のプレナリー・セッションも,そのような統一テーマに基づいたプログラム配置がなされていた。すなわち,初日午前の部は,会長講演「てんかん学の進歩とキンドリング」(司会:東京警察病院脳外科・真柳佳昭氏)で始まり,シンポジウムI「てんかん外科手術後の神経心理学的変化」(司会:国立療養所静岡東病院・八木和一,東北大学大学院高次機能障害学・山鳥重両氏)において,難治てんかん手術後の高次脳機能や精神症状の問題が議論された。難治側頭葉てんかんに対する外科手術の機会は近年増加する傾向にあるため,時宜を得た企画であると思われた。それに引き続いて,カナダBritish Columbia大学のJuhll A Wada教授による特別講演I「Predisposed Susceptibility and Partial Seizure Disorder」(司会:佐藤光源氏)を拝聴することができた。この中でWada先生は,長年の霊長類を用いたご自身の実験てんかん研究を総括されたうえで,側頭葉てんかんの自然経過中に,キンドリング現象に類似した難治化のプロセスがみられるという興味深い臨床データにも言及された。
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