Japanese
English
研究と報告
通電療法が著効したステロイド精神病の1例
A Case of Steroid Psychosis Responsive to Electroconvulsive Therapy
漆原 貴子
1
,
功刀 浩
1
,
池淵 恵美
1
,
広瀬 徹也
1
Takako URUSHIBARA
1
,
Hiroshi KUNUGI
1
,
Emi IKEBUCHI
1
,
Tetsuya HIROSE
1
1帝京大学医学部精神神経科学教室
1Department of Psychiatry, Teikyo University School of Medicine
キーワード:
Steroid induced psychosis
,
Electroconvulsive therapy
,
ECT
,
Idiopathic thrombocytopenic purpura
,
ITP
Keyword:
Steroid induced psychosis
,
Electroconvulsive therapy
,
ECT
,
Idiopathic thrombocytopenic purpura
,
ITP
pp.987-993
発行日 2001年9月15日
Published Date 2001/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405902493
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【抄録】 ステロイド薬は臨床各科で必須の治療薬であり,副作用として生じる精神障害への対応が必要となる場合が少なくないが,精神医学的検討はいまだに不十分である。今回,我々は,特発性血小板減少性紫斑病(以下ITP)に対するステロイド治療中に錯乱状態となり,薬物療法は奏効しなかったが,通電療法が著効した1例を経験した。
症例は35歳の会社員である。職場の健康診断からITPと診断され内科でステロイド治療が開始されたが,経過中2回のステロイド精神病のエピソードが出現した。1回目の多幸的気分〜躁状態のエピソードは抗精神病薬により約1週間で回復したが,2回目は抑うつ状態で始まり意識障害を混じる錯乱状態を経て無言・無動状態に至り,薬物療法は無効であった。全身状態,生命予後も悪化したため通電療法を施行したところ,精神症状の劇的な改善が認められた。本症例からステロイド精神病の治療戦略として,通電療法が重要な選択肢の1つであることが示唆された。
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