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紹介
ECTにおける発作評価と「治療閾値」の重要性―米国のVisiting Fellowshipに参加して
The Importance of Seizure Evaluation with EEG and "Therapeutic Threshold" on Stimulus Intensity in the Practice of ECT
上田 諭
1,2
Satoshi UEDA
1,2
1日本医科大学精神医学教室
2東京都老人医療センター精神科
1Department of Neuropsychiatry, Nippon Medical School, Tokyo, Japan
2Department of Psychiatry, Tokyo Metropolitan Geriatric Hospital
キーワード:
Electroconvulsive therapy
,
ECT
,
Seizure evaluation
,
Seizure duration
,
Stimulus intensity
,
“Therapeutic threshold”
Keyword:
Electroconvulsive therapy
,
ECT
,
Seizure evaluation
,
Seizure duration
,
Stimulus intensity
,
“Therapeutic threshold”
pp.1135-1141
発行日 2007年11月15日
Published Date 2007/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405101101
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はじめに
うつ病の治療を中心として電気けいれん療法(ECT)への注目が高まっているが,日本のECTはいまだ発展途上といってよい。欧米では,いわゆる修正型,つまり麻酔薬と筋弛緩薬を使用した無けいれんでの施行が30年前から一般的となっているのに対し,日本では非修正型(有けいれん)がいまだ少なからず残存している。また,治療器についても欧米から20年以上遅れて2002年に,認知面や心循環系に対しより安全な短パルス矩形波(以下,パルス波と略)治療器が承認されたが,すでに製造中止となったサイン波治療器もなお使用されている。さらには,ECTの増加に伴い,その適応の甘さを指摘する声も聞かれる4)。
筆者はこの5年間,勤務した高齢者専門総合病院で年間約500セッションのECTを経験してきた。その中で,現在の自分たちの方法や考え方が最も有効なものであるのか,高齢者に対してサイン波を使わずにパルス波のみで十分な効果を得る方法はないか,と考えてきた。そこで本年3月,米国のECTの実際を見るため,米国ノースカロライナ州Duke University Medical Center(DUMC)のVisiting Fellowship in ECTに参加し,5日間の研修を受けた。研修は大変有意義なものであった。なかでも,十分な認識を持てなかった刺激電気量と発作持続時間の関係および発作の評価について確かな知見を得たので,それを中心に報告したい。なお,DUMCの担当教授は,邦訳がある「ECT実践ガイド」15)の著者,米国精神医学会(APA)ECT委員会chairpersonを務めたWeinerで,米国におけるECTの第一人者である。
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