巻頭言
いま精神医療に携わるものはどうしたらよいか
清水 徹男
1
1秋田大学医学部精神科学講座
pp.936-937
発行日 2001年9月15日
Published Date 2001/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405902486
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おそらく各国の精神科医師の数を規定するのは精神障害者の数ではなく,その国の豊かさであろう。つまり,精神医療は“贅沢品”である。その豊かさとは,経済的側面のみに規定されるものではなくて,文化的な成熟をも含むものであろう。どなたか,各国の一人あたりのGNPと人口あたりの精神科医の数を調べてくだされば幸いである。言うまでもなく,わが国は未だなお,経済的にはとても豊かな国であるはずである。
この国は中井久夫先生のいう“微分回路”が働きやすい国ではないだろうか。バブルの時は万能感に包まれて,今は貧しさの予感に脅えて社会が一丸となってお祭り騒ぎの様相を見せつつ,雪崩を打って変わっていこうとする。行き着く先は誰も知らず,あるいはわかっていても直面化を避けながらである。
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