アンケート
一般教養について—どうしているか・どうしたらよいか
尾関 たず子
1
1岐阜県立高等看護学院
pp.48
発行日 1962年11月1日
Published Date 1962/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663904294
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一般教養についての題には,適当しがたい点もあるかと思いますが,私が今日まで幾年か看護業務に携さわってまいりまして,感じましたことを少しのべてみたいと思います。
看護の対象とは何かと考えて見るときに反応的に頭脳にしみわたってくるものは,何ものでもなく,精神的肉体的に異常のある人々に,人種の別もなく,また社会的地位に対しても区別なく看護するのが任務とされています。その任務を健全に果たすのには何が必要か。いうまでもなく専門教育が浮び上ります。その浮び上る教育については法的に必須科目として指定されているから問題ではなく,実際的には問題にされていない面においての教育が問題であると思います。なぜならば看護婦が肉体的な看護をすることは容易なことであるが精神的な看護をすることは非常に困難なことです。前にものべましたように対象の範囲の広大な点において地位,階級の異る人々の満足のできる看護を行なう上には,一般社会に於ける文学・芸術・道徳的な面の教育がぜひ,必要とされてきます。近年,マスコミの激しい時代であるのである程度の勉強はできますが,最も必要とする時事問題,行政,経済,文学的な面において,非常に看護業務者にはよわい点が多く見受けられる現在,地位的に一般社会より私共が誇りを持っているようには一般社会は認めてないのではないかと感ずることが多々あります。
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