患声患語
精神科医療に携わる方々へ
丹谷 未歩
pp.420-421
発行日 1975年4月1日
Published Date 1975/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661917235
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- 文献概要
今ここに私は,患者の立場から,精神科医療に携わる方々へ向けて呼び掛けることのできる貴重な機会を与えていただいたことを,大変幸運に思います.なぜなら,患者と治療者という立場の中では,患者の意思の主張は束縛され許されないという情況があるからです.
もう少しはっぎり言えば,患者の自己主張すなわち病状悪化とされ,退院は延ばされ,薬を増やされるという現実もあるのです.鉄格子の中で生活し,退院した後も‘精神病者’のレッテルを貼られて差別され,身動きとれずに生きている人々は,今もなお,口を閉ざされています.そういう彼らの想いを,少しでも代弁できれば,私の胸の内にある怒りに似た気持ちも少しは救われるかも知れません.
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