Japanese
English
シンポジウム ライフサイクルと睡眠障害
発達と老化による睡眠の変化とその生理学的意義
Changes of Sleep in Development and Aging, and Their Physiological Significances
内田 直
1
Sunao UCHIDA
1
1東京都医学研究機構・精神医学総合研究所
1Tokyo Institute of Psychiatry
キーワード:
Human sleep
,
Development and aging
,
EEG
,
Sleep delta waves
,
Sleep spindles
,
Frontal lobe
Keyword:
Human sleep
,
Development and aging
,
EEG
,
Sleep delta waves
,
Sleep spindles
,
Frontal lobe
pp.1301-1308
発行日 2000年12月15日
Published Date 2000/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405902339
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はじめに
発達あるいは老化に伴って睡眠の内容が変化することはよく知られている。Boselliら2)は,睡眠中の覚醒回数を10歳から80歳の40名の被検者について調べ,時間あたりの覚醒回数は年をとるに従って直線的に増加することを明らかにした(図1)。年をとると覚醒しやすくなることは,経験的にもよく知られているが,睡眠の内容も発達と老化に伴って変化をしている。一日の中で睡眠の占める割合と,その睡眠中のノンレム睡眠とレム睡眠の割合について調べてみると,新生児期では一日のほとんどの時間を眠って過ごし,そのうちレム睡眠の占める割合が非常に多いことがわかる。また,高齢になるに従って睡眠の占める割合は次第に少なくなり,レム睡眠よりもノンレム睡眠が多く出現するようになってくる。このような総睡眠時間の変化やノンレムーレムの割合の変化のほかに,乳児では昼間起きて夜眠るという24時間のリズムが形成されておらず,昼間眠っていて夜間しばしば起きるなどということは,よく経験されることである。また,老人では早寝早起きとなり,全体に睡眠が一日の早い時間帯に移動する傾向がある。
睡眠はこのように発達と老化の中でさまざまな変化をするが,一方で同じノンレムあるいはレム睡眠の質も変化している可能性がある。本稿では各睡眠段階の量的変化だけでなく睡眠中の脳波の質的変化,特に各周波数帯域のパワー値の変化に焦点を当てて,これまでの研究知見について我々の結果を交じえて概説し,さらにそれがどのような脳活動の変化を反映しているのかについて考察したい。
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