Japanese
English
特集 睡眠と精神医学:「睡眠精神医学」の推進
せん妄と睡眠障害
Delirium and Sleep Disorders
千葉 茂
1
,
石丸 雄二
1
,
田村 義之
1
,
稲葉 央子
1
,
高崎 英気
1
,
阪本 一剛
1
,
山口 一豪
1
,
石本 隆広
1
Shigeru CHIBA
1
,
Yuji ISHIMARU
1
,
Yoshiyuki TAMURA
1
,
Hiroko INABA
1
,
Hideki TAKASAKI
1
,
Kazutaka SAKAMOTO
1
,
Kazuhide YAMAGUCHI
1
,
Takahiro ISHIMOTO
1
1旭川医科大学医学部精神医学講座
1Department of Psychiatry and Neurology School of Medicine, Asahikawa Medical College, Asahikawa, Japan
キーワード:
Sleep
,
Delirium
,
Liaison-consultation psychiatry
,
Actigraphy
,
EEG
Keyword:
Sleep
,
Delirium
,
Liaison-consultation psychiatry
,
Actigraphy
,
EEG
pp.511-518
発行日 2007年5月15日
Published Date 2007/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405100994
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はじめに
患者との面接において,最も重要なことはせん妄の有無を判断することである。その理由は,「意識」は精神現象の基盤をなすものであり,また,その「意識」の障害であるせん妄が存在するか否かを明らかにすることは,患者の精神症状の全体像をとらえる方向性を決定づけることになるからである。
せん妄は,精神科臨床,とくにリエゾン・コンサルテーション精神医学においてしばしば遭遇する精神症状である。たとえば,せん妄は総合病院に入院した患者の約20%に生じる11)。入院中の高齢者におけるせん妄の有病率は約40%と高い5)。一方,せん妄の存在は,患者の予後を考えるうえで重要なサインでもある。たとえば,せん妄は,装着されたカテーテルやドレーンの自己抜去や,転倒・転落などの事故につながる。また,せん妄の既往がある高齢者では,その既往がない高齢者に比べて,その後に認知症が現れる率が高い5)。せん妄の既往のある患者は,既往のない患者と比較して死亡率も高い5)。このように,せん妄は臨床の場において看過できない精神症状であり,また,その予防や早期診断・早期治療は生命予後を大きく左右するといえる5)。
本稿では,せん妄と睡眠障害の関連性について概説する。
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