特集 —身体疾患の患者・家族のこころを支える—コンサルテーション・リエゾン精神医学
特集にあたって
明智 龍男
1
1名古屋市立大学大学院医学研究科精神・認知・行動医学分野
pp.1111-1112
発行日 2024年9月15日
Published Date 2024/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405207367
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コンサルテーション・リエゾン精神医学は,主として総合病院において身体各科の要請に応じて提供される精神医学的サービスすべてを含む概念であり,幅広い領域を含む。この背景には,身体疾患患者に治療が望まれる精神疾患が合併することは稀ではなく,中でも高度急性期医療機関としての総合病院に入院している身体疾患患者の30〜50%程度に何らかの精神疾患が認められるといった身体疾患患者における精神症状マネジメントのニーズの高さがある。
多死社会を迎えたわが国の死因を考えてみると,がん,心血管疾患,脳血管障害などの頻度が高いため,これら疾患にまつわる依頼が多いのはよく知られているが,精神症状発現の頻度が高い,神経変性疾患や慢性疼痛,またもともと精神疾患を有する患者が搬送されることが多い救急医療の現場でもコンサルテーション・リエゾン精神医学への期待は高い。筆者自身が専門にしているサイコオンコロジーの領域においても,がん診断後の自殺予防,不安や抑うつのマネジメント,終末期のせん妄のマネジメントなどについては現時点においても現場のニーズの高さを実感するところである。また,筆者が大学病院内で運営に関わっている「いたみセンター」の診療において,特に器質因が明確でない慢性疼痛患者に併存する多彩かつ複雑な精神症状マネジメントについても,多職種チーム診療として精神科医が参画することへのニーズの高さを身をもって感じている。
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