特集 自殺の現状と予防対策—COVID-19の影響も含めて
特集にあたって
明智 龍男
1
1名古屋市立大学大学院医学研究科
pp.1023-1024
発行日 2021年7月15日
Published Date 2021/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405206399
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自殺対策基本法では,「自殺対策は,生きることの包括的な支援として,全ての人がかけがいのない個人として尊重されるとともに,生きる力を基礎として生きがいや希望を持って暮らすことができるよう,その妨げとなる諸要因の解消に資するための支援とそれを支えかつ促進するための環境の整備充実が幅広くかつ適切に図られることを旨として,実施されなければならない」,「自殺対策は,保健,医療,福祉,教育,労働その他の関連施策との有機的な連携が図られ,総合的に実施されなければならない」とされている。
よく知られているように国内の自殺者数は1997年まで2万人台で推移していたが,98年から14年連続で3万人を超え,2003年には過去最多の3万4427人となった。最悪の時期と比べると,現在の自殺者数は少なくみえるが,世界的にみると日本の自殺率は決して低くなく,先進7か国の中では98年以降ずっとトップである。このような状況の中,政府は2017年に自殺総合対策大綱を策定し,国としてもさまざまな対策に取り組んでいる。
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