Japanese
English
特集 現代における解離—診断概念の変遷を踏まえ臨床的な理解を深める
複雑性PTSDと解離の関係—結果か原因か
A Causal Speculation between Complex PTSD and Dissociation
金 吉晴
1
Yoshiharu Kim
1
1国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所
1National Institute of Mental Health, National Center for Neurology and Psychiatry, Tokyo, Japan
キーワード:
複雑性PTSD
,
complex post-traumatic stress disorder
,
解離
,
dissociation
,
離人
,
depersonalization
,
認知
,
cognition
Keyword:
複雑性PTSD
,
complex post-traumatic stress disorder
,
解離
,
dissociation
,
離人
,
depersonalization
,
認知
,
cognition
pp.1072-1079
発行日 2024年8月15日
Published Date 2024/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405207358
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抄録
心的外傷後ストレス症(PTSD)の症状の成立と慢性化には解離が関与しており,DSM-5ではPTSDの中核症状であるフラッシュバックは解離症状であると規定されている。被害体験の中で生じる現実感の消失や知覚変容,自己疎隔化体験などの解離症状は周トラウマ期解離として知られているが,複雑性PTSDと関係することの多い,持続的反復的被害においては,周トラウマ期解離もまた持続的に生じることが想定される。特に被害体験が児童期に生じた場合には,こうした解離の中で生じた,被害や自己,世界についての認知の誤りは,本人のその後の人生観や社会行動に深刻な影響を与える可能性がある。その一部は複雑性PTSDの自己組織化障害(DSO)症状に反映されているが,それにとどまらない,広汎な社会的機能への困難については,さらなる臨床的検討が必要である。
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