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English
特集 DSM-5からDSM-5-TRへ—何が変わったのか
解離症群—DSM-5-TRの変更点とその意義
Dissociative Disorders: Changes in DSM-5-TR and their Significauce
金 吉晴
1
Yoshiharu Kim
1
1国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所
1National Institute of Mental Health, National Center for Neurology and Psychiatry, Tokyo, Japan
キーワード:
解離
,
dissociation
,
離人
,
depersonalization
,
脱現実化
,
derealization
,
幻覚
,
hallucination
,
自動症
,
automatism
,
DSM-5-TR
Keyword:
解離
,
dissociation
,
離人
,
depersonalization
,
脱現実化
,
derealization
,
幻覚
,
hallucination
,
自動症
,
automatism
,
DSM-5-TR
pp.1390-1394
発行日 2023年10月15日
Published Date 2023/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405207098
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抄録
DSM-5-TRの解離症診断では,DSM-Ⅳ以降に強調されてきた心的外傷との関係がさらに明確に記載され,外傷性脳損傷と対比され,トラウマモデルが強調された。解離性同一性障害の解説では,歴史的に解離とは異なった文脈で研究されてきた離人症状としての体外離隔体験が含められた。解離性同一性障害に生じる幻覚妄想様体験の記述は詳しくなり,シュナイダーの一級症状との異同の詳しい紹介,統合失調症との鑑別の手引きが追加されたが,幻覚・妄想という用語が注意深く避けられていることはDSM-5と変わらない。DSM-5で用いられていた転換症状という用語は,鑑別診断における機能的神経学的症状症(変換症)の項目となった。解離性障害は要素的な精神機能の統合の喪失として定義されており,人格の一部が主たる人格との統合を失って自動症的に活動をするというシャルコーやジャネの定義は反映されていない。
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