Japanese
English
特集 複雑性PTSDの臨床
精神科一般外来での複雑性PTSD診療
Complex PTSD treatment in a general psychiatric outpatient clinic
村上 伸治
1
Shinji Murakami
1
1川崎医科大学精神科学教室
1Kawasaki Medical School Department of psychiatry, Okayama, Japan
キーワード:
複雑性PTSD
,
complex PTSD
,
心理教育
,
psychological education
,
精神療法
,
psychotherapy
,
防火壁
,
fire wall
Keyword:
複雑性PTSD
,
complex PTSD
,
心理教育
,
psychological education
,
精神療法
,
psychotherapy
,
防火壁
,
fire wall
pp.1152-1157
発行日 2023年8月15日
Published Date 2023/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405207057
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抄録
複雑性心的外傷後ストレス症(PTSD)患者は信頼関係を持つことに自体に困難があり,体験を語ること自体も病状悪化をさせやすい。そのため,多忙な精神科一般外来での複雑性PTSD診療は容易ではない。だが,心理教育は必要であり可能である。患者はトラウマ体験や症状に圧倒されており,自分が置かれた状況を理解し,疾患を異物化して認識するために,地図やモデルを必要としている。まず,複雑性PTSDという疾患やその症状を患者に合わせて説明することが求められる。そして,理解しやすい説明モデルとして筆者は「延焼モデル」を考案し,トラウマの影響を火事の延焼で説明し,延焼を食い止める防火壁などもイメージしてもらうようにしている。一般精神科外来では,トラウマ記憶そのものへのアプローチは難しいが,レジリエンスを考えた,周辺的なアプローチは可能と考えられ,神田橋條治による養生法なども有用である。
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