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特集 精神疾患・精神症状にはどこまで脳器質的背景があるのか—現代の視点から見直す
統合失調症の脳器質的背景—神経病理学的研究から
Brain Organic Background of Schizophrenia : From Point of View of Neuropathological Investigation
鳥居 洋太
1
,
関口 裕孝
2
,
入谷 修司
2
Yota Torii
1
,
Hirotaka Sekiguchi
2
,
Shuji Iritani
2
1名古屋大学大学院精神医学
2桶狭間病院藤田こころケアセンター附属脳研究所
1Graduate school of medical science, Nagoya University, Aichi, Japan
2Brain Research Institute, Okehazama Hospital mental care center
キーワード:
統合失調症
,
schizophrenia
,
神経病理
,
neuropathology
,
ブレインバンク
,
brainbank
Keyword:
統合失調症
,
schizophrenia
,
神経病理
,
neuropathology
,
ブレインバンク
,
brainbank
pp.383-390
発行日 2024年4月15日
Published Date 2024/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405207235
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抄録
クレペリンが統合失調症(早発性痴呆;dementia praecox)の疾患単位を提唱して以来,その生物学的な病態解明は主として神経病理学的手法によっていた。その後認知症をはじめとする変性疾患の神経病理学的な理解は,顕微鏡の性能の向上や組織染色法の開発とあいまって目覚ましく進歩した。一方でいわゆる内因性精神疾患の病態解明は,従前の方法では限界があり,「統合失調症に神経病理変化はない」とまで結論付けられた時代が長く続いた。しかし,画像研究やゲノム精神医学の病態解明研究が進み,それらの研究成果を脳組織の器質的な変化に収斂させることで病因にアプローチできるようになってきている。そして,過去の神経病理観察所見も意味を持たせることができうる可能性が出てきた。また,精神疾患の器質的背景を研究するうえで,精神疾患死後脳(精神科ブレインバンク)は必須であり,われわれの精神科ブレインバンク活動も紹介した。
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