Japanese
English
特集 精神疾患・精神症状にはどこまで脳器質的背景があるのか—現代の視点から見直す
気分障害の脳器質的背景—高齢者のうつ病を中心に
Organic and Biological Background of Late-Life Depression
馬場 元
1,2
Hajime Baba
1,2
1順天堂大学医学部附属順天堂越谷病院メンタルクリニック
2順天堂大学大学院医学研究科精神・行動科学
1Department of Psychiatry, Juntendo Koshigaya Hospital, Saitama, Japan
2Department of Psychiatry & Behavioral Science, Juntendo University Graduate School of Medicine
キーワード:
うつ病
,
depression
,
高齢者
,
elderly
,
器質的
,
organic
,
生物学的
,
biological
,
背景
,
background
Keyword:
うつ病
,
depression
,
高齢者
,
elderly
,
器質的
,
organic
,
生物学的
,
biological
,
背景
,
background
pp.392-398
発行日 2024年4月15日
Published Date 2024/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405207236
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抄録
一般にうつ病の器質的・生物学的背景として視床下部-下垂体-副腎皮質系の機能異常,モノアミン系やグルタミン酸系の機能異常,神経栄養因子を介した神経新生の障害,神経炎症などが示唆されている。高齢者の場合はそれら以上にうつ病の病態に強く影響を与える脳の器質的要因として,生理的加齢による脳の器質的変化,脳血管病変,そして認知症に関連した病理変化が挙げられる。認知症に関連した物質としてアミロイドβ蛋白,タウ蛋白,αシヌクレイン,嗜銀顆粒,脳由来神経栄養因子(BDNF),ニューロフィラメントLなどが挙げられる。これらの中には高齢者のうつ病の器質的・生物学的背景としてコンセンサスを得られていないものも多いが,それぞれが独立してうつ病の病態に影響しているのではなく,相互に関係し合って高齢者のうつ病の器質的背景を成しているものと思われる。
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