Japanese
English
シンポジウム 脊髄損傷の神経病理とMRI画像
脊髄損傷の神経病理とその発病機序
Neuropathology of Spinal Cord Injury and its Pathogenesis
田中 順一
1
,
新宮 彦助
2
Junichi Tanaka
1
,
Hikosuke Shingu
2
1東京慈恵会医科大学神経病理
2山陰労災病院整形外科
1Division of Neuropathology, Jikei University School of Medicine
2Department of Orthopedic Surgery, San-in Rosai Hospital
キーワード:
脊髄損傷
,
spinal cord injury
,
神経病理
,
neuropathology
,
脊髄軟化症
,
myelomalacia
,
浮腫
,
edema
,
発病機序
,
pathogenesis
Keyword:
脊髄損傷
,
spinal cord injury
,
神経病理
,
neuropathology
,
脊髄軟化症
,
myelomalacia
,
浮腫
,
edema
,
発病機序
,
pathogenesis
pp.1137-1144
発行日 1991年10月25日
Published Date 1991/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408900444
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抄録:外傷性脊髄損傷の21剖検例について神経病理学的検索を行い,その発病機序について考察を加えた.急性期(受傷後1週間以内)には受傷部を中心に壊死が起こり,出血を伴うことがあり,その周囲に著しい浮腫がみられた.また,脊髄周縁の白質にも楔状の浮腫が現れた,亜急性期(10日~1ヵ月)では壊死巣は軟化,融解して空洞化が始まり,大食細胞による貧食・清掃が行われ,その周囲はグリア細胞や毛細血管の増殖によって器質化された.クモ膜下腔は線維組織で狭窄し,受傷部の上下髄節には上行および下行線維の二次変性が現れた.慢性期(数ヵ月~十数年以上)では空洞壁は瘢痕組織で置換され,軸索の再生やSchwann細胞による髄鞘化が行われ,しばしば,外傷性神経腫を形成した.5年以上では外傷後脊髄空洞症を合併することがあった.とくに,急性期にみられる浮腫は,その発現に循環障害が少なからず関与し,損傷の病理機序に大きく影響すると思われる.
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