Japanese
English
特集 超高齢期の精神疾患
超高齢期の統合失調症—その生物学的背景を中心に
The Biological Understanding in Late-onset or Super-old Onset Schizophrenia
入谷 修司
1,2
Shuji Iritani
1,2
1桶狭間病院・藤田こころケアセンター附属脳研究所
2藤田医科大学
1Okehazama Hospital・Fujita Mental Care Center, Brain Research Center, Toyoake, Japan
キーワード:
早発性痴呆
,
dementia praecox
,
統合失調症
,
schizophrenia
,
超高齢期
,
oldest-old
,
神経発達障害仮説
,
neurodevelopmental hypothesis
,
神経変性仮説
,
neurodegenerative hypothesis
Keyword:
早発性痴呆
,
dementia praecox
,
統合失調症
,
schizophrenia
,
超高齢期
,
oldest-old
,
神経発達障害仮説
,
neurodevelopmental hypothesis
,
神経変性仮説
,
neurodegenerative hypothesis
pp.13-20
発行日 2022年1月15日
Published Date 2022/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405206533
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抄録 ドイツのKraepelinが,統合失調症(早発性痴呆)の疾患単位を提唱してから120年以上経たが,いまだその病因病態は不明なままである。診断学的には,幾多の変遷を経て,現在はDSMやICDの操作的診断が臨床で広く汎用されている。高齢期に発症する統合失調症が,成人前期に発症するそれと同じ病態かどうかについても従前から議論されてきた。DSMにおいてもDSM-Ⅲまでは,発症は45歳以下という年齢的な制限があった。統合失調症という病態について,生物学的には神経発達障害の側面と神経変性の側面があることが想定されている。統合失調症が高齢者・超高齢者に発症するかどうかについては,従前からのlate-onset schizophreniaの議論の延長線上にあると考えられる。しかし,いまだ信頼性のある生物学的マーカーがないため診断は主として臨床症状と除外診断に頼ることになる。一方,高齢期・超高齢期になれば,脳器質的な加齢がインパクトを与え,少なからず精神症状に影響を与える。認知症に伴ういわゆるBPSDも,統合失調症様の症状を呈することもある。超高齢の統合失調症についての研究蓄積はほとんどなく今後の課題である。超高齢の統合失調症について,統合失調症診断の発症年齢の問題について歴史的経緯にふれつつ,どのように理解すべきかを生物学的な側面から概説した。
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