Japanese
English
特集 精神疾患・精神症状にはどこまで脳器質的背景があるのか—現代の視点から見直す
統合失調症と自己抗体
Schizophrenia and Autoantibody
塩飽 裕紀
1
Hiroki Shiwaku
1
1東京医科歯科大学大学院精神行動医科学分野
1Department of Psychiatry and Behavioral Sciences, Tokyo Medical and Dental University Graduate School, Tokyo, Japan
キーワード:
統合失調症
,
schizophrenia
,
自己抗体
,
autoantibody
,
NCAM1
,
neural cell adhesion molecule 1
,
NRXN1
,
neurexin 1
Keyword:
統合失調症
,
schizophrenia
,
自己抗体
,
autoantibody
,
NCAM1
,
neural cell adhesion molecule 1
,
NRXN1
,
neurexin 1
pp.376-382
発行日 2024年4月15日
Published Date 2024/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405207234
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抄録
統合失調症にはさまざまな背景病態があり異種性が指摘されている。背景病態の候補の1つが自己免疫・自己抗体に関連するものである。神経系に対する自己抗体は,自己免疫性脳炎における抗N-メチル-D-アスパラギン酸(NMDA)受容体抗体の発見を皮切りに,さまざまな神経系の分子に対する自己抗体が発見されるようになった。その後,急性精神病における自己抗体の存在から自己免疫性精神病の概念を経て,統合失調症でも神経系に対する自己抗体が報告されるようになり,統合失調症における自己抗体病態がさらに検証されるようになってきている。本稿では,われわれが発見したシナプス分子に対する新規自己抗体である抗NCAM1自己抗体や抗NRXN1自己抗体をはじめ,統合失調症における新規の自己抗体とその探索アプローチを概観し,自己抗体が統合失調症でどのような病態を形成するかを考察する。さらに統合失調症における自己抗体病態に対する治療の今後についても考察する。
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