Japanese
English
特集 拡がり続ける摂食障害(摂食症)—一般化とともに拡散・難治化する精神病理にどう対処するか
[総論]
新しい生物学的基盤の側面—報酬系と摂食障害
Altered Brain Reward Systems in Eating Disorder
磯部 昌憲
1
Masanori Isobe
1
1京都大学医学部附属病院精神科神経科
1Kyoto University Hospital, Department of Psychiatry, Kyoto, Japan
キーワード:
摂食障害/摂食症
,
eating disorder
,
神経性やせ症
,
anorexia nervosa
,
脳内報酬系
,
brain reward system
,
磁気共鳴画像
,
MRI
,
ニューロモデュレーション
,
neuromodulation
Keyword:
摂食障害/摂食症
,
eating disorder
,
神経性やせ症
,
anorexia nervosa
,
脳内報酬系
,
brain reward system
,
磁気共鳴画像
,
MRI
,
ニューロモデュレーション
,
neuromodulation
pp.1235-1243
発行日 2023年9月15日
Published Date 2023/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405207074
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抄録
摂食障害(摂食症)の病態生理は未解明であるが,食行動においても中心的役割を果たす「脳内報酬系」の異常が,その発症と維持に関与していることがかねてから指摘されている。例えば,摂食障害でみられる食事制限や過食は脳内でなんらかの報酬として認識され,異常な食行動を維持する原因となっている可能性がある。本稿では,特に神経性やせ症(AN)に焦点を当てる。AN患者を対象としたMRI研究では,食事制限や低体重,過活動などAN関連刺激を脳内報酬として認識することが報告されるとともに,特に島皮質や前頭皮質における脳構造や脳機能の変化が,疾患の発症や重症度と関連することが示唆されている。脳内報酬系を標的とする新規治療法として,ニューロモデュレーションに期待が寄せられているが,ABAモデルなどの因果関係の解明に役立つ実験動物を用いた作用機序の解明,および手法や標的部位など,より実効的な実施方法の確立のどちらもが不可欠である。
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