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うつ病の治療として,認知行動療法などの精神療法や薬物療法があるが,治療効果発現に時間を要し,難治例が未だなお30%以上存在するのが現状である。修正型電気けいれん療法(modified electroconvulsive therapy:mECT)が最も古典的なニューロモデュレーション治療として切り札的な存在として方法が精緻化され,さらに磁気けいれん療法(magnetic seizure therapy:MST)へと発展している。反復経頭蓋磁気刺激療法(repetitive transcranial magnetic stimulation:rTMS)は2019年本邦で保険診療として承認された。また,低侵襲性のニューロモデュレーション治療として,fMRIニューロフィードバック,経頭蓋直流刺激療法(transcranial direct current stimulation:tDCS)などがある。その他,海外では難治性うつ病に適応となっている迷走神経刺激療法(vagus nerve stimulation:VNS)や,難治性うつ病や強迫性障害に,一部の国で研究段階であるが使用が可能となっている深部脳刺激療法(deep brain stimulation:DBS)などがある。いずれも脳科学の進歩に伴って,うつ病の責任病巣と推定される特定の脳神経回路の治療を目指すものである。このような多くのニューロモデュレーション治療が発展してきているが,本特集では現状・特徴・改良点・今後の発展性などさまざまな角度から,論じて頂いた。また,脳を間接的あるいは直接的に刺激する治療であることから,精神外科の負の歴史もふまえて倫理的な面も重要な課題である。本特集は,うつ病治療のエキスパートである日本うつ病学会のニューロモデュレーション委員会の委員が結集した企画である。
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