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特集 統合失調症の心理社会的治療—どのように使い分け,効果を最大化するか
統合失調症の心理社会的治療に活かす当事者研究
Tojishya Kenkyu(Self & Co-Research) for Psychosocial Treatment
向谷地 生良
1
,
鈴木 和
1
Ikuyoshi Mukaiyachi
1
,
Wataru Suzuki
1
1北海道医療大学看護福祉学部臨床福祉学科精神保健福祉学講座
1Graduate School of Nursing and Social Services, Health Science University of Hokkaido, Hokkaido, Japan
キーワード:
当事者研究
,
tojisya-kenkyu
,
リカバリー
,
recovery
,
統合失調症
,
schizophrenia
,
共同創造
,
co-production
Keyword:
当事者研究
,
tojisya-kenkyu
,
リカバリー
,
recovery
,
統合失調症
,
schizophrenia
,
共同創造
,
co-production
pp.1533-1543
発行日 2021年10月15日
Published Date 2021/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405206471
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抄録 リカバリーの概念が精神障害者リハビリテーションにおける共通の目標概念として認められ,定着が進められる中で,統合失調症における心理社会的治療の効果を最大化する上で大切になってくるのが,薬物療法への過度な偏重,専門家主導,関係者中心の治療や支援の状況を乗り越える「当事者主導」と「共同創造(co-production)」の視点である。
当事者研究は,2000年に依存症や精神障害を経験した当事者と共同した自助の取り組みとしてはじまったが,その特徴である身近な困りごとや体験などを素材に「研究する」〔テーマを共有(co-research)し,自由なスタイルで研究(対話)を進め,その成果をみんなで共有し,社会への貢献を目指す〕一連の取り組みは,先の「当事者主導」と「共同創造(co-production)」を実現するアプローチとして注目されている。
その活用においては,①当事者の語りへの積極的な関心と対話的傾聴,②内容が妄想的かどうかの評価や否定をしない態度,③分かりにくい語りや独特の言葉遣いにも,対話を通じて意味と内容を明確にしていく態度,④内容の視覚化にも努めながら対話を深める姿勢が重要になってくる。
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