Japanese
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特集 自殺の現状と予防対策—COVID-19の影響も含めて
自殺とメディアの諸相—マスコミ効果研究から考える「自殺とメディア」
Suicide and Aspects of Media:Considering “Media and Suicide” Based on Theories of Mass Communication Effects
音 好宏
1
Yoshihiro Oto
1
1上智大学文学部新聞学科
1Department of Journalism, Faculty of Humanities/Institute of Media, Culture and Journalism, Sophia University, Tokyo, Japan
キーワード:
自殺
,
suicide
,
ウェルテル効果
,
werther effect
,
世界保健機関
,
World Health Organization
,
WHO
,
皮下注射モデル
,
hypodermic needle model
,
培養効果理論
,
cultivation theory
Keyword:
自殺
,
suicide
,
ウェルテル効果
,
werther effect
,
世界保健機関
,
World Health Organization
,
WHO
,
皮下注射モデル
,
hypodermic needle model
,
培養効果理論
,
cultivation theory
pp.1073-1081
発行日 2021年7月15日
Published Date 2021/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405206405
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抄録 コロナ禍の影響もあってか,若者の自殺者が急増している。自殺という行為を選択する過程において,「ウェルテル効果」など,マス・メディアの影響を指摘する声は古くからあった。ただ,マス・コミュニケーション過程において,受け手がどのようにメディア・メッセージを受容し,その影響を受けるかについては,マス・コミュニケーションの効果研究として,多くの知見,研究成果が示されているとともに,メディア環境の変化とそれに伴う,メディア利用行動の変化を踏まえた上で議論すべきであろう。
本論考では,「皮下注射モデル」「限界効果モデル」「強力効果モデル」といったマス・コミュニケーションの効果研究の蓄積を踏まえた上で,現代の日本社会において,10代,20代の若者の自殺が急増することの背景を考える。特に2020年5月に起こったリアリティショーとされるテレビ番組「テラスハウス」の出演者がSNS上での誹謗中傷を苦にして自殺に至ったとされる事件を踏まえ,ネット環境への依存度を強める現代社会においては,マス・メディアに求められてきたメディア・メッセージへの自己規制が効かないネット上での誹謗中傷を含む書き込み,情報が,若者たちを直撃している状況にある。
若者の自殺防止策は,そのようなメディア環境の変化を踏まえた自殺に至るまでの実態のデータ収集とその総合的な分析を進めることで,現代日本社会が抱える重要な問題として対策を図るときにきている。
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