増大号特集 精神科クリニカル・パール—先達に学ぶ
第7章 不安症・強迫症・身体症状症診療の先達
不安の逆説を知る,回復を知る
北西 憲二
1,2
1森田療法研究所
2北西クリニック
キーワード:
不安
,
anxiety
,
逆説的介入
,
paradoxical intervention
,
恐怖と欲望
,
fear and desire
,
「べき」思考
,
“should” thinking
,
森田療法
,
Morita therapy
Keyword:
不安
,
anxiety
,
逆説的介入
,
paradoxical intervention
,
恐怖と欲望
,
fear and desire
,
「べき」思考
,
“should” thinking
,
森田療法
,
Morita therapy
pp.757-764
発行日 2021年5月15日
Published Date 2021/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405206359
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clinical pearl
・神経症者は「できないこと」に注力し,「できること」に取り組めない人である。そして望んでいることと結果が逆になる。
・神経症者は,頭でっかちな「べき」思考を持ち,過緊張に陥っている。何かが足りないと悩むが,さまざまなことが過剰なのである。欠損を埋めるのではなく,過剰な部分を削り,努力の方向を変え,本来の一次的反応(症状)の特性である,変化し,流動する体験ができるように働きかける。
・神経症性障害を理解し,介入するには,恐怖と欲望(生の力),そして「べき」思考の三角形の関係に注目し,そこへの介入を行う。そこでは生の力と注意の方向に注意を払うこと。
・一次的反応(症状),生活状況,そして自己自身の関係のあり方を変えることが,治療の要諦である。その関係の結び直しが変化を引き起こす。そこでは,待つ力,耐える力を身につけ,一次的反応(症状)が流動・変化することを経験し,行動を通して生の力を磨くことがポイントとなる。
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