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特集 精神科医療における病名告知—伝えるか,伝えるべきでないか?伝えるなら,いつ,どのように伝えるか?
パーソナリティ障害における診断名告知・病状説明
Diagnosis Notification and Mental Condition Explanation in Treatment of Personality Disorders
林 直樹
1
Naoki Hayashi
1
1帝京大学医学部精神神経科学講座
1Department of Psychiatry, Teikyo University School of Medicine, Tokyo, Japan
キーワード:
病名告知
,
disease notification
,
病状説明
,
explanation of mental condition
,
疾病認識
,
illness recognition
,
パーソナリティ障害
,
personality disorder
,
治療契約
,
treatment contract
,
治療関係
,
patient-treatment staff relationship
Keyword:
病名告知
,
disease notification
,
病状説明
,
explanation of mental condition
,
疾病認識
,
illness recognition
,
パーソナリティ障害
,
personality disorder
,
治療契約
,
treatment contract
,
治療関係
,
patient-treatment staff relationship
pp.1097-1104
発行日 2020年8月15日
Published Date 2020/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405206160
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抄録 診断名(病名)告知は,本来の医療行為の一部であり,治療契約を結び,治療を実施するための前提となる手続きである。しかしパーソナリティ障害(personality disorder:PD)の治療では,患者の疾病認識と診断が大きく相違することがままあり,診断名告知が治療上の問題となることがある。本稿では,PD診断の意味を確認し,それについて医療倫理的な視点から診断名告知について検討を加えた。その治療では,PD概念の不十分さのゆえに明快な説明が困難であることや,診断・評価に時間をかける必要があること,また,診断名に付きまとうネガティブなイメージが患者を傷つける可能性があることから,診断名告知が必ずしも治療に貢献しないケースがある。他方,PDの回復や治療効果についての知見が集積されつつあり,また,当事者による回復の報告やピアサポートの動きがみられるなど,診断名告知が患者の回復に貢献し得る状況が醸成されてきている。この情勢において我々は,診断名告知を,彼ら自身の疾病認識に働きかけながら,治療の流れの一部として実施することが必要である。
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