Japanese
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特集 時代とともに変わる精神疾患—その変化の本質を理解する
時代とともに変わるパーソナリティ症の診断と治療
The Evolving Landscape of Diagnosis and treatment for Personality Disorders
林 直樹
1
Naoki Hayashi
1
1西ヶ原病院
1Nishigahara Hospital, Tokyo, Japan
キーワード:
パーソナリティ症
,
personality disorder
,
精神医学的診断
,
psychiatric diagnostics
,
社会心理学
,
social psychology
Keyword:
パーソナリティ症
,
personality disorder
,
精神医学的診断
,
psychiatric diagnostics
,
社会心理学
,
social psychology
pp.900-907
発行日 2025年6月15日
Published Date 2025/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.048812810670060900
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抄録
精神障害の概念は,時代によって変化する。その主な要因としては,時代による社会変化の影響,および精神医学の見方の進歩を挙げることができる。パーソナリティ症(PD)は,とりわけ大きな概念の変遷を経てきた精神障害であり,それは診断基準の変化に明らかである。この概念の変化には,社会文化的要因が関与しているのであるが,それと関連しつつ進められてきた精神医学の変革も直接的に作用を及ぼしている。本稿では,精神医学の側の動きである診断基準の変化を概観し,現在ではPDが人格的特性から把握されるという段階に至っていることが確認された。このことは,1990年代から(PDと同様に)認知特性や行動パターンが診断で重視される神経発達症や複雑性心的外傷後ストレス症(CPTSD),行動嗜癖といった精神障害の領域が広がる中で,PDがそれらの障害をもつ人々の診断・病状把握,そして治療において重要な役割を果たすことを論じた。

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