増大号特集 精神科診療のエビデンス—国内外の重要ガイドライン解説
第1章 診療ガイドラインの基礎知識
診療ガイドラインの質と吟味のポイント
天野 瑞紀
1
,
中川 敦夫
1,2
Mizuki Amano
1
,
Atsuo Nakagawa
1,2
1慶應義塾大学医学部精神・神経科学教室
2慶應義塾大学病院臨床研究推進センター
1Department of Psychiatry, Keio University School of Medicine, Tokyo, Japan
2Clinical and Translational Research Center
pp.502-510
発行日 2020年5月15日
Published Date 2020/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405206061
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はじめに
臨床医にとって,診療ガイドラインはどのようなものか—「ガイドラインに書いてあることなど,目の前の患者に当てはめられるわけがない」,「ガイドライン通りに診療しないと何かあった時,患者に訴えられる」など,診療ガイドラインをめぐるさまざまな意見を耳にする。もちろん,診療ガイドラインは目の前の患者の治療方針を教えてくれる明快な便利本ではないが,多忙な臨床医が最新のエビデンスを収集し,それをアップデートしていくことは難しく,臨床医や患者に分かりやすい形にまとめ,治療選択に関するエビデンスを提供し,治療推奨を示してくれる診療ガイドラインは便利なツールである。本稿では,臨床医が上手に診療ガイドラインを活用することを念頭に,まず診療ガイドラインの基本について概説し,診療ガイドラインの質を吟味する上で重要となる評価のポイントについて述べる。
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