Japanese
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展望
ブレインバンク—その構築と研究成果
Brain Bank for Psychiatric Research: Its goal, problems, and research outcomes
丹羽 真一
1
Shin-Ichi Niwa
1
1福島県立医科大学会津医療センター精神医学講座
1Department of Psychiatry, Aizu Medical Center, Fukusima Medical University, Aizuwakamatsu, Japan
キーワード:
Brain bank
,
Post-mortem brain
,
Schizophrenia
,
Bipolar disorder
Keyword:
Brain bank
,
Post-mortem brain
,
Schizophrenia
,
Bipolar disorder
pp.569-582
発行日 2019年5月15日
Published Date 2019/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405205834
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抄録 精神疾患研究には倫理的・科学的にしっかりしたブレインバンクが必要である。日本では精神疾患研究用バンクが少なく全国ネット化も遅れている。検死官からを主な経路とする欧米のバンクは解剖までの時間が短い一方,生前情報が少なく後方視的な精神科診断が難しい弱点がある。福島県では生前登録制度による日本初の系統的精神疾患死後脳バンクの活動が1997年より開始されている。2018年3月現在,生前登録200名,献脳55名で,他研究機関への分配も着実に増加している。日本医療研究開発機構に研究課題が採択されて日本ブレインバンクネット(JBBN)が組織され全国ネットワーク化が端緒についた。これまでの死後脳研究成果をモノアミン伝達,細胞内信号伝達,プロテオミクス,ゲノミクス,リピドミクス,エピジェネティクス,微小循環・慢性炎症にまとめて紹介した。生前情報に富む日本の精神疾患死後脳バンクが病態解明と治療薬開発で世界に先駆けることが期待される。
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