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編集後記
Y. K.
pp.1178
発行日 2018年10月15日
Published Date 2018/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405205705
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本号は,こころの発達や発達の経過にまつわる話題が大半を占めています。こころの発達の問題に焦点を当てた特集が組まれているので当然かもしれませんが,それだけではありません。
発達の経過に沿ってみると,まず,出生時体重が1,500g未満である低出生体重児が1歳6か月時に示す自閉症スペクトラム特性について,標準出生体重児と比較した報告があります。低出生体重児が認知や行動上の困難を示しやすいと知られてはいたものの,自閉スペクトラム症(ASD)をはじめとする発達障害との関連での系統的な検討は重要であり,今後も進めることが望まれます。次に,不安や強迫などを呈してアットリスク精神状態(ARMS)と判定されたが,本人の気持ちに寄り添いつつ心理教育や認知行動療法を進めてよい転帰を得た症例が紹介されています。ARMSから精神病に発展せずに機能回復を果たした報告ということですが,リスクのある青年の発達支援とも理解でき,救難信号としてのARMSの意義を示しているようです。さらに,精神疾患合併妊婦の周産期における精神症状の増悪に関連する要因を検討した研究があります。平成28年の児童福祉法改正に伴って,養育上の公的支援を妊娠中から要するような環境にある妊婦を特定妊婦とし,支援をいっそう積極的に進めることになってきた流れの中で,先進的な臨床活動を基盤にした,示唆に富む論文です。
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