--------------------
編集後記
Y. K.
pp.190
発行日 2017年2月15日
Published Date 2017/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405205337
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
操作的診断基準も薬物療法も精神医療のあたりまえの構成要素になって久しい現在,診療さらには研究や教育が何を目指しているのかをあらためてかえりみるきっかけが本号にはちりばめられているように思います。
まず,巻頭言において,山末英典先生が研究の必要性について論じて,当事者の求めるunmet medical needsに迫ることが大切であると指摘しています。それに続けて,『精神科医にとっての薬物療法の意味』と題して,9名の経験豊富な精神科医が意見を交えています。顔ぶれを見ると薬物療法を擁護したり批判したりして意見を戦わせているのかと思われるかもしれませんが,決してそんなことはありません。各先生方のバックグラウンドや経験によってニュアンスは異なっていますが,向かっている方向は驚くほど一致しているように思います。その一例が,プラセボ効果の肯定的な側面への言及でしょう。それは,当事者がどのように感じるかを尊重する姿勢に通じると思われます。文中で紹介されている事例や対応の仕方から,そのような姿勢がうかがわれるとともに,日常診療にすぐさま活用できるヒントを見出せます。
Copyright © 2017, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.